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冒険との共通点。「知的情熱、知的好奇心」が原動力に。世界的冒険家が65歳でソムリエを目指した理由。

今回体験記を書いてくださるのは、ソムリエ試験に合格したNIKI Hills Winery総支配人で南極を犬ぞりで横断したこともある世界的な冒険家・舟津圭三さんです。晴れて日本初(?)の冒険家ソムリエが誕生しました!
冒険とワインの世界の共通点についても話していただきました。


ワインへの「知的情熱、知的好奇心」

DACワイン講師の近藤先生から、今回の体験記のバトンを引き継いだNIKI Hillsの舟津です。まずは、なぜソムリエ試験を受けることになったかの、その動機から書いて行こうと思います。

その動機は、
探検とは「知的情熱の肉体表現(Exploration is the physical expression of the intellectual passion.) 」
というイギリスの探検家・チェリーガラードという人の言葉にあります。

20世紀初頭、スコット隊の一隊員だった彼は、当時未知の分野であった皇帝ペンギンの生態の研究のために、その卵を採取しようと、厳冬期の闇夜のマイナス50度を下回る南極大陸の氷の上を、徒歩で営巣地まで遠征を行うという一大冒険を実施し、無事目的を果たし帰還しました。その遠征を彼自身が「世界最悪の旅」と称したほどの困難な探検だったわけですが、知りたい、見てみたいという知的好奇心からくる情熱が原動力となって、困難なことでも一歩踏み出せるし、目標に向かうこともできるということを教えてくれる言葉で、これは冒険や探検、人間の生き方の本質的なところにまでつながってくると今まで思ってきました。この言葉を、ワインの世界に当てはめてしまったことが、その動機だったと思います。

ワインのソムリエ資格を目指すということは、僕にとっては、命をかける冒険ということではないですが、65歳という年齢を考えると困難なことには違いありませんでした。ワイナリー立ち上げからNIKI Hills プロジェクトに関わって7年、過去にフランスやアメリカのワイナリーを訪れたり、ワインを飲んだりするだけで満足していたワインの世界ですが、その奥深さを知るほどに、もっと奥を知りたい、見てみたい、という気持ちが強くなり、つまり、これはワインへの「知的情熱、知的好奇心」だと思っていたのです。
そんな折りに、DACグループで、ソムリエ試験・ワインエキスパート試験のための会社のワインセミナーが開講されるとの告知があったわけです。こんな絶好のチャンスを逃す手はありません。セミナーを受講して、試験に受かってソムリエの資格を取得できれば、五感を通じての「肉体的表現」ができる、これは、一歩踏み出して、ワインの世界の探検家になれるチャンスだ!などと自分なりの勝手な解釈とノリで、受験を決意をしたということです。

1989年から1990年にかけて、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国・日本の6カ国の国際隊で南極を犬ぞりで横断するプロジェクトの日本代表として参加した舟津さん。

65歳の「挑戦」

それでは続いて、2022年ソムリエ試験受験体験記に移ります。

日本ソムリエ協会のソムリエ試験は、毎年実施されるのですが、
・ワインの知識・教養を問われる一次試験
・テイスティングの2次試験
・論述と実技の3次試験
があります。
合格率は毎年30%前後の狭き門だけに(2022年のソムリエ試験合格率は30.1%、ワインエキスパートは32.9%)、65歳の老化した脳みそが、昔の電話帳ほどの分厚い教本の中身を、果たしてどれだけ覚えられるのか。
二次のテイスティングでの、ワインの外観、香り、味わいを見極める感覚に対して、鈍化が進む我が五感がどれだけ通用するのか、
三次では、ワインのサーヴィス実技など、ほとんど素人の自分に、どれだけ対応できるのか・・・。
全てにわたり、自信はありませんでしたが、DACグループのサポートで、近藤美伸先生の講義も受けられるという強力バックアップもあるということで、ワイナリーで仕事をしていて、ソムリエの資格ぐらいはあってもいいだろうし、「教本」といえども「六法全書」よりは取り組みやすいだろうし、一次だけでも合格できればと、65歳の「挑戦」を決意し、2月半ばから、ソムリエ資格への道を一歩踏み出した次第でした。

覚えては忘れの連続・・・最大の問題は勉強時間の確保

一次試験は学生時代の地理の試験にワインが絡んでくるといったもので、地理もワインの勉強も、世界旅行している気分で楽しくやろうという気持ちで臨みました。
近藤先生の指導で、まずはイタリアから始めました。
イタリアの20州は基本中の基本。そういう類の暗記事項が、ワイン生産国(北緯・南緯30度から50度の間の国々)全てにわたります。
この地方にはこういうワインがあって、こういう葡萄があって、どういう作り方とか、他にもワインの醸造・ワイン葡萄の栽培についてや、チーズや料理の基本的知識まであり、全部はとても覚えられるものではありません。
とにかく覚えては忘れ、忘れては覚えの連続です。
一次試験は、コンピューターが、無数にある問題からアットランダムに選でくる120問の問題に答えるのですが、4つの答えから1つを選ぶ4択で、これは非常に助かりました。
書けと言われても書けないですが、選ぶことははるかにやりやすかったです。
合格ラインは70%の正解が必要と言われており、120問中84問正解が目指す合格ラインです。
一次試験は、7月半ばから8月末の間に、自分の希望受験日を予約し、その日に会場に行き、コンピューターから次々と出てくる問題に答えるだけです。
しかも受験日は受験可能期間中、自分の都合のいい2回の日を選べますから、一回落ちても、もう一回チャンスが与えられるので、受験生にとれば、とてもありがたい制度です。(2回受験は当然ですが受験料が高くなります)

夏は本業のNIKI Hillsでの外での肉体労働の作業が忙しく、夜は昼間の疲れで睡魔に襲われます。仕事の休みは週一回、祝日はないので、勉強時間の確保が1番の課題でした。朝3時とか4時の起床、6時までの2-3時間を確保し、休みの日は4-5時間を確保。4月5月6月7月をこれで乗り切らないと、このポンコツ脳みそでは、試験に間に合わないので、とにかく早起きして、暗記と過去の問題を練習として5000問解くことを繰り返す日々でした。

いよいよ一次試験・・・とんだハプニング!

そんな苦労を重ねて迎えた予約した8月2日の一次試験。
予約した札幌の受験会場に到着し、「さぁやるぞー」と意気込んで、会場受付に行きますと、
「ここの会場には舟津さんの名前では予約されてませんよ」のカウンターパンチ!
「え、そんな馬鹿な!メールでも確認のメールを頂戴してます!」
と告げると、札幌市内の会場が数カ所あり、会場が別の場所であることを告げられたのです。

会場を間違えるという、なんとも情けないあり得ないミス・・・・。

試験開始時刻は指定されていて、もうその時刻まで15分しかありません。試験日は、今回諦めたとして、次の予約日まで、まだ3週間もあります。3週間また勉強を続けるのはもうやりたくない!と言う心境ですので、
「これまで一生懸命勉強してきたので、なんとか受けさせてください!」
と、心の中で土下座しながら、なんとかお願い!と懇願したところ、
「予約した受験会場に行ってもらわないとダメですが、一応本部に聞いてみます」と電話で聞いてみてくれたのです。
普通ではあり得ない神対応!
「席に余裕があるかどうかによりますが、今すぐそちらに行ってみてください」と言われ、さぁ、それからが必死です。
札幌市内の地理には疎く、会場がどこにあるかも手元にあった簡単な地図だけでは全くわからず、8月の夏空の下、大汗かきながらの右往左往。
スマホの検索機能でなんとか住所がわかり、歩いて行ける距離ではないと判断し、通りかかったタクシーを拾って会場まで乗りつけた次第でした。
予約した時刻はとっくに過ぎており、「だめか・・・・」と思いつつ、会場に入っていきますと、受付の女性がすぐ対応してくれ、
「聞いています。大丈夫ですよ。これから受けてください」と、
まるで天使の声でした。
「ラッキー!ありがたい!助かったー」の気持ちです。
そのまま静寂のパソコンルームに案内され、試験を受けてる最中の受験生たちを横目に見ながら、指定の席に着席。
目の前には、大きなパソコンのモニターがあります。
案内の女性から、すぐに試験開始してくださいと告げられました。
パソコンの「スタート」キーを押しますと、120個の問題が次々と出てくるのですが、その前に、とにかく落ち着けと自分に言い聞かせ、深呼吸をして、したたり落ちる汗を拭いながら、呼吸が整うのを待ちました。

そして、いざ、スタート。70分間の勝負です。わからない問題も多数ありましたが、それは飛ばし飛ばしで後から答えるとして、わかる問題からどんどん進めました。
最後は、ケアレスミスがないかを確認し、よし、これなら84問正解は行けたかもと、終了のボタンをクリックすると、いきなりコンピューターの画面に「合格」と大きな文字が表示され、びっくり仰天。
受付に戻った時に結果がわかると思っていたので、本当にびっくりでした。「よっしゃー!」と心の中で喝采でした。
この一次試験は「落とす試験」なので、合格率は30%と聞いていただけに、一発合格できて、これ以上の達成感、解放感はないといったような心境でした。いつも最後に何が起こるかわからない我が人生、でも、いつも通りの結果オーライで一次試験をなんとか乗り切りました。


今回はここまで。次回はいよいよ二次試験・三次試験です!
乞うご期待ください。


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