DACグループ思い出リレー #14 前山 敏行 編〈中編〉
最初は一番の反対派だったセブンサミッツプロジェクト
DACグループが50周年を迎えるにあたって出てきたアイデアの一つがセブンサミッツプロジェクトでした。7大陸最高峰を社員のリレー形式で登頂を目指すプロジェクトです。
私自身、ヨーロッパ大陸最高峰のエルブルスと世界最高峰のエベレストに挑戦させていただきました。
しかしながら、このプロジェクトについて社長から発表があった際に一番反対したのは実は私でした。
大きな費用もかかりますし、そもそも社員に登山家はいません。当然危険も伴います。
会議の場で「社長、無理ですよ」と言いました。
社長からは「それがどうした」の一言。
それでとにかく準備を万全に整え、一流のガイドの指導のもと、第一弾の女性社員によるキリマンジャロへの挑戦が始まりました。
そこで登頂できなければ終わりになるだろうと思っていましたが、挑戦した社員はみんな頑張り、見事全員が登頂、プロジェクトは続行されました。
エルブルスへの挑戦
気持ちが変わったのは自分の検査入院でした。
結果的に何も無かったのですが、このまま何も挑戦せずに終わってしまうのかなという気持ちになったのです。
「石川社長が冒険を通して発信したいメッセージは自分にはまだよくわからない、でもチャレンジすればわかるかもしれない」という気持ちになりました。
そこで手を上げてプロジェクト第4弾となるヨーロッパ大陸最高峰のエルブルスにチャレンジすることになりました。
エルブルスはロシアのコーカサス山脈にある美しい雪山です。ただし黒海の影響を強く受け、内陸にありながら天候が目まぐるしく変化し、急な悪天候のため、ホワイトアウトに見舞われることもあります。広々とした雪原ゆえに、上下左右がわからなくなりルートを外し、遭難するといった例もあります。55歳の挑戦として簡単なものではありませんでした。
逸見さんと、もう今は退職された沢田さんと雪山に登ったり週末ごとにトレーニングを頑張り、十分準備をして臨みました。
性格も年齢も性別もバラバラの3人、女性2人はとても個性的、珍道中でとても楽しかったです(笑)。
アタック当日は天候も悪く雪が吹き荒び、本当に大変でしたが、最高のガイドである倉岡さんの助けもあり、全員で登頂することができました。石川社長が第三弾として北米大陸最高峰のデナリを登頂した後で、そのバトンを次に回せてほっとしたのを覚えています。
まさか自分がエベレストに挑戦するとは
でも私の挑戦はこれで終わりではありませんでした。
エルブルスから戻ってきて約1年後、最後にして最高峰である第七弾エベレストに挑戦するメンバーを募集していたときのことです。
役員会で社長が「役員は誰も手を上げないのか」と言われたんです。
たまたま目が合ってしまい、迫力に圧倒され思わず手を上げてしまいました・・・。
エルブルスを登ってはいましたが、正直、年齢的にも厳しく、できるだろうかという思いがありました。
同じく立候補した上山くん、伊藤くんと一緒に、約3年にわたって雪山での登山やキャンプ、低酸素ルームでのトレーニングなど厳しい訓練を受けました。
エベレストには、事前に6000m級の山に登ったことがない人は登れないという規制があり、本番でチャレンジする1年前の2017年に7020mのノースコルまで登りました。そして2018年、ついに頂上8848mに挑戦。
4月2日、社員みんなに見送られて日本を発ちました。そこから高度順応しながらベースキャンプに入り、体を慣らすために登ったり降りたりを繰り返しながら5月17日ついに頂上に、世界で一番高い場所に立つことができました。
8000mを超えるとデスゾーンと言われ、酸素は平地の1/3しかなく、1から10までの数を数えるのさえ難しくなります。頂上でも動画をとりましたが、意識は朦朧として、上手く思いを伝えられず、とにかく「感謝、感謝」と叫んでいました。
下山ではロープが絡まり、逆さまになったときなど、もうだめかと思う瞬間が何度もありました。しかし、全員で登頂し、無事下山して帰ってくるという社員との約束を果たすという思いでなんとか無事に帰ってくることができました。
本当に色々な方との出会いがあり、挑戦することができました。
テレビ番組で「天国じじい」の愛称でおなじみの貫田さん、エルブルスでもガイドいただいた日本人最多エベレスト登頂記録を持つ倉岡さん、一緒に登るメンバーも一流の方々で、皆さんこのプロジェクトを成功させたいという強い思いを持ってくださいました。皆さんがいなければ達成できませんでした。
一緒に登った上山くん、伊藤くんも全員が違うキャラで面白かったですね。
何より本当にたくさんの社員の皆さんが応援してくれて、それが力になりました。
59歳でのエベレスト登頂。
普通に会社勤めしていては出会えない人に会い、経験できないようなことを経験できました。
このプロジェクトで2つの山に登って、わかったことがあります。
「夢は行動を起こして思いが強ければ実現できる」ということです。
若い人たちに言いたいのは、
チャンスは貯金できないということ。
チャンスがあれば手を挙げて、積極的に取り組んでほしい。失敗したら取り返せば良いのだから。
DACグループはチャレンジできる会社です。色んな可能性があります。
ぜひ色んなことにチャレンジしてみてください。
中編はここまで。後編はNIKI Hills Wineryについてです!